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ゆるくまにあ!

ゆるくまにあ! 《第16話》

JUGEMテーマ:ものがたり


2月に入り、もうすぐ、1年に1度の
女の子にとって大切な日がやってきます。

『ワールド チョコレート マスターズ』で優勝し、
カリスマショコラティエとしても名高いシーちゃんの作るショコラは、
食べた人を笑顔にする『幸せを呼ぶショコラ』として、今年も大人気!

全国からたくさんのオーダーを受けて、大忙しです。

バレンタイン.jpg

「今年も、たくさんの片思いが実を結ぶといいわね」

鼻歌を歌いながら、手際よくボウルの中身をかきまぜていたシーちゃんは、
出窓に飾った植木鉢を眺めながら、
初恋の相手に初めて出会ったときのことを、思い出していました。



〜〜〜 ハタラク谷 〜〜〜


谷のはずれにあるその1軒の丸太小屋には、
ベッドに弱々しく横たわる、痩せ細った小さなクマと、
その手を握る、まだ幼い日のシーちゃんの姿がありました。


「姉ちゃん・・・ ボク、もうダメみたい・・・」

小さな弟クマの体の紋章は、日に日に薄くなり消えかかっていました。

シーちゃんは、それを見てさっと顔色を変えましたが、
ぐっと手のひらを握り締めて、明るく振舞います。

「そんなバカなこと、言わないでちょうだい! お姉ちゃんね、
やっと山岳ガイドとメディカルハーバリストの資格を取れたの!

お姉ちゃんが、今度こそ、あの山の薬草を取ってくるから、
そしたら・・・ こんな病、あっという間によくなるわよ!!!」

バレンタイン6.jpg

飛び出したシーちゃんは、堪えきれず溢れた涙をぬぐうこともせず、
大きな袋を抱えて、必死で走りました。

ハタラクマにとって、命取りである病、『ハタラケナイ病』を治すには、
安全な谷を出て、恐ろしい生物が棲むあの山へと登らなければいけません。

その森に生えているという、希少な薬草
『森々ハタラク草(モリモリハタラクゾウ)』さえ、あれば・・・


〜〜〜 あの山 〜〜〜


崖を登り、草を薙ぎ、シーちゃんの手足は傷だらけです。

(森々ハタラク草は、群生する植物だから、
きっとこの辺りに生えているはず・・・!)

「痛っ」

大きな岩をどかしたシーちゃんの爪の根元から
血が滲み始めましたが、歯を食いしばり、いくつもの岩をどかしていきます。

シーちゃんの瞼の裏に、小さな弟の笑顔が浮かびました。

(待っていてね! お姉ちゃんが、絶対に薬草を持ち帰るから!!)


最後の岩をどかしたとき・・・


「あっ!」

そこには、小さな森々ハタラク草が一輪、風に揺れていました。

バレンタイン4.jpg


(他には・・・)

しかし、周りを見渡しても、どうやら一輪しか見当たりません。

(せめて、一輪だけでも・・・)

シーちゃんが、大切な薬草を摘み取り、
袋に入れようとした、そのときです。


シュルシュルッ

「うまそうな匂いがすると思ったら・・・
 今日は豪勢な、生肉定食になりそうだぜえ」

不気味な音を立てて、シーちゃんの前に現れたのは、大きなヘビ!!

クマたちを丸呑みしてしまうこともあるという、恐ろしいヘビです。
血の匂いを嗅ぎ付けて、やってきたのです。

バレンタイン1.jpg

「・・・・!!」

じりじりと、後ろに下がるシーちゃん。
後ろ手で、何か武器になりそうなものを探しますが、見つかりません。


ヘビは、黄ばんだ太い牙を噛み鳴らしながら、ウネウネと近付いてきます。

「あらら! そいつは、森々ハタラク草じゃねえの・・・ へへへ
 こりゃあ、ツイてるぜえ! クマ肉ともども、いただきまー」


バリッ ボキッ

「フンヌァァアアアアアア!!??」


ヘビが大きな口を開けたそのとき、
何かがバキバキと音を立てながら、落下してきました。


ドシーン!! メリメリッ


「キャッ!」

ぎゅっと目をつぶっていたシーちゃんが、大きな音に思わず目を開けると、
そこには不思議な生命体が立っていました。


(えっ!!? 何!?)
バレンタイン7.jpg


よく見ると、それは仲間であるハタラクマの、おしりのようです。
木の洞(うろ)に、上半身を突っ込んだまま、抜けなくなってしまったであろう豊満なおしりです。

動けないおしりにラクガキして遊んでいたらしい鳥たちが、
上空から大笑いしています。


ハッとしてシーちゃんがヘビを探すと、
恐ろしいヘビは、おしりの木の下敷きになって、すっかりのびてしまっていました。


「いたた・・・ 折れるなんて、ひどいクマ〜」

慌ててシーちゃんは、おしりの主を引っ張り出すことにしました。


男の子クマは、なぜか顔がパンパンに腫れています。

「危ないところを、助けてくれてありがとう・・・」

「?? 僕の方こそ、デリケートかつグラマラスなおしりが、
 おかげで助かったクマ!」


少し落ち着いてきたシーちゃんは、
彼が落ちてきたであろう上空を見上げました。

「どうして、あんな高いところから落ちてきたの?」

「コレを採っていたんだクマ!」

男の子が差し出したのは、甘い蜂蜜がたっぷり詰まった、大きな蜂の巣!!


「・・・ん? これは何クマ?」

蜜でベタベタの蜂の巣には、何やら植物がたくさん貼り付いていました。

バレンタイン8.jpg

「あっ!!! それは・・・」



目をぱちくりさせた後、シーちゃんは、
くしゃくしゃになって笑いました。




バレンタイン2.jpg

〜〜〜


部屋の壁には、少し大きくなった弟が、満面の笑みでトロフィーを持つ写真。
おなかには、くっきりとした赤い紋章が輝いています。

出窓で優しく揺れる森々ハタラク草を見て、微笑んだシーちゃんは
今度は自分のために、ボウルをかき混ぜ始めました。

バレンタイン5.jpg



 ◆◆◆



ピンポーン
「ちわーす! どらねこヤマトでーす!」


「なんだ!? ケル坊!
 シー姐さんから、やたらでかい荷物が届いたぞ!!」


バリバリ
「こ、これは・・・!!」


ダンボール箱の中には・・・

大好物である鮭の形をした大きなチョコが、
ぎっしりと詰まっていたのでした。
バレンタイン3.jpg


《第17話へつづく!》


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  • 2014.02.14 Friday
  • 08:00

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